NISHIO GARAGE


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2000  Vol. 19


第3回インプレッサスポーツミーティング

 

西尾vs北村、速いのはどっち?

〜年に一度のインプレッサの祭典で、思わぬ好カードが実現〜

 

 

レポート:今日はマネージャー?山口顕子

 大阪市此花区・舞洲の特設コースを舞台にした「インプレッサスポーツミーティング」も今年で三回目。競技車のシートに座ってスピンターンを体験できる同乗走行や、リラックスした雰囲気の選手たちを間近に見られるトークショーも楽しいかもしれないが、なんといってもこのイベントの見どころはプログラム最後の勝ち抜きスーパーSS。インプレッサのワンメイクとはいえ、さまざまなカテゴリーのクルマが入り乱れての無差別級バトルは、本物の競技とちがってルールもかなりいい加減。それでも、目の前でくりひろげられる連続一騎撃ちは、手に汗にぎる迫力がある。

 過去2年連続でこの勝ち抜き戦を制したのは、全日本ジムカーナのトップスター・西原正樹。第一回のときのコースはオールターマックで、「ジムカーナ選手が圧倒的に有利」という不満がラリー、 ダートラ選手から出たことを配慮し、昨年からは一部にダート区間も含むコース構成になっている。

 また、昨年までは9月開催だったが、今年はニューインプレッサSTi バージョンの発売に時期を合わせた のか、11月3日に移動。午前中は時期はずれの台風の名残の雲が低くたれこめていたが、トーナメン トの始まる午後になって、お天気はすっかり回復した。

  しょっぱなの第1組にさっそく北村和浩が登場。対戦相手は元全日本ラリーチャンピオンの桜井幸彦。96年かぎりで全日本を引退し、97〜99年は海外ラリーにスポット参戦していたが、今年はキャロッセスポーツラリーチームの監督として全日本戦に姿を見せるだけで、ドライバーとしての活動はない。 前夜の夕食会でトーナメントの組み合わせが発表されたとき、桜井カントクは、「相手が北村じゃあ勝ち目 ないな」と弱気だったが、西尾は、「いや、アイツはいま絶不調やから、勝てるデ」と無責任に励まし た。出場選手全員が、「オレが勝つ!」という気持ちで元気に走ったほうが、見るほうも面白いので、 私も横から、「そうです、イケますよ」と援護する。

 たしかに北村はあまり調子がよさそうでなく、中間地点は桜井カントクとほぼ同時に通過。しか し後半になると現役の強みで早々と勘どころを掴んだらしく、桜井カントクを破って2回戦に進出した。このト ーナメントは、出場者が17人と半端なので、1回戦は北村VS桜井だけで、他は全員2回戦からになっている。去年は西尾がこのソンな立場にあったのだが、私がそれを指摘しても西尾は気づかず、 「そんなはずはない、全員一緒のはずや」と言っていたが、表を見てやっと理解した。あれから1年以上たった今年のイベント前夜、運営責任者の岡波玲嘉さんが挨拶に来た途端、西尾は、「去年はオレにソンをさせたな!」といきなり突っ込んだ。ホントに、突然何を言い出すやら・・・。

 第2組は西尾雄次郎対柳沢宏至という全日本ラリー選手同志の組み合わせ。司会者に「勝算は?」と聞かれて、西尾の腕前をじゅうじゅう承知している柳沢は、「難しいけど、頑張ります」と殊勝に答えた。西尾のほうは、「勝負はともかく、見せる走りをします」と宣言。その言葉どおり、スタートしてすぐの左右クランクから激しいフェイント&ドリフト走行を披露。司会者も、「す、すごい!!見せる走りを、 と言うだけあって、すごい迫力ですね!!」と盛り上げる。私が見るかぎり(本人もあとで言っていた)西尾の出来はイマイチだったが、柳沢をなんとかしのいで2回戦へコマを進めた。

 次に北村が登場したのは2回戦の最終組。対戦相手は2年連続優勝の西原。1回走ってかなり調子が上がってきたのか、このときの北村の走りは圧巻。外周・舗装路のハイスピード区間からタイ トコーナー区間への進入は、スピン寸前の強烈なブレーキング。そして、内周の最終区間に入るダートから舗装への進入は、最高のライン取り、最大効率の減速、そして理想的な姿勢で、他の選手とは比べ 物にならないほどの速さ。まさにため息が出るような走りとはこのことだ。こんな走りこそ、見せる値打ちがある、と北村の価値を今さらながら再認識した。走りを見る目のある人なら、「今日の優勝は北村」と思ったにちがいない。もちろん、西原をくだして2回戦に進出した。なんと次は、西尾との対決だ。

 西尾対北村という好カードに、ファルケントラックの荷台に陣取って観戦していたニシオガレージフ ァンクラブ(?)は「どっちが勝つやろ?」と大騒ぎ。「キタちゃんはああ見えて意外と学習能力が高 いからなあ。一回走ってわかったことは次にはもう修正できてるし」「オッサン(西尾)は賢いようでいて学習しよらへんこともあるしなあ」と、どちらに対しても失礼なことを勝手にしゃべっている。「ああ見えて」というのは、どういう意味かな?(自分も、そうそう、と同意していたくせに。)

 北村は司会者にコメントを求められて、「勝っちゃったらゴメンナサイ」と、自信ありげ。どっちにしても、いい走りをするほうに勝ってもらい、その素晴らしい走りをできるだけみんなに見てもらいたい。そういう意味では、今日はキタちゃんに勝ってもらったほうがいいし、たぶん、そうなるだろう、 と思った。

 

 いよいよスタート。アウトコースの北村は最初のクランクをハデに攻めて立ち上がっていく。いっぽ う、インコースの西尾は直線的なラインでダートを駆け抜ける。ファルケントラックでは、「やっ、オ ッサン、突然勝負を意識してセコくなっとる」という声が。しかし、勝負はあっけなくついた。北村が、いつもスピン寸前の厳しいブレーキングを見せていたところで、本当にスピンしてしまった。西尾の走りは相変わらずサエなかったが、こうしてやすやすと準決勝に勝ち進んでしまった。

 準決勝の1組目は茅野成樹対菱井将文のジムカーナ対決。今年5年ぶりに全日本チャンピオン(A4クラス) 獲得を決めた菱井は、前夜の夕食会でも、「今回はゼッタイに優勝したる!」とバリバリに気合が入っていた。あらゆる状況に対応できるよう、タイヤを4〜5セットも用意してきたらしい。西尾に「明日のタイヤは何で行きますか?」とマジで聞く。「もちろん、オレはラリーストやから新品のダートタイヤや」という西尾の答えを聞いて、菱井は「はあ・・・?」と、呆気にとられていた。言ったとおり、西尾も北村も新品のRX01Dを履いてスタートしている。

 見た限りではベタベタに地味で速いのか遅いのかよくわからない茅野を菱井が破り、決勝進出決定。 準決勝のもう1組は、ベテランラリーストの対決、西尾対綾部。これはどちらが勝つか最後までわからないハラハラドキドキの好取り組みとなった。綾部が完全にリードを奪ったかに見えたが、外周路の最後のフルターンは北村以外全員が失敗している難所。ここで綾部がもたつく間に西尾が追いついて、内周路最後のフルターンをラクラクと決める。ゴールはほとんど同時だった。しかし、綾部がミスコースと判定されて西尾が決勝進出。しかし、あとで西尾から聞いた話では「オレも同じところでミスコースしたのにな?」とか。

 西尾がゴールするとすぐに決勝戦。今年は新趣向で、先日発売されたばかりのニューインプレッサSTi の新車を使った対決が用意されていた。コースを取るかクルマを取るか、ジャンケンで決める。西尾が勝って、「カッコいいほう」(スバルワールドラリーチームのカラーリング)のクルマを取った。「アホやな、クルマなんか取って。コースを取ったほうがいいのに」とか、「珍しくジャンケンに勝つなんて(西尾は目茶苦茶ジャンケンに弱い)、オッサンはこれで運を使い果たした」と、ファルケントラックではため息が・・・。

 司会者が、「さあ、これでイコールコンディションですね。どっちが勝つと思いますか?」という質問に挙手で答えを求めたところ、ドライバーたちのほとんどは「西尾」のほうに手を挙げた。さすがに西尾のテクニックにはみんな一目置いているということか。

 

 しかし意外にも西尾は大敗してしまった。「西尾選手が勝つと予想した人が多かったので、菱井選手の闘志に火がついたんでしょうか」と司会者は言ったが、じつは西尾の選んだクルマはミッションの調子が悪かったらしい。トーナメントが終わってからSTi の社員某が、「あのクルマ、僕が東京から運転して来たんですけど、あれ、ギヤが入らないんですよ。」たしかに西尾が運転したときもそうだったらしい。「それを先に言うてくれよ!」

 最後は残念な結果に終わったが、「ゼッタイに勝つ」と準備万端でのぞんだ菱井が勝ったのはメデタシメデタシ。12月10日には関東で初めての「インプレッサスポーツミーテイング」がもてぎツインリンクで開かれる。玲嘉さんに「もてぎではどんなことをするの?」と聞いてみたが、「それは内緒です」と言って教えてくれなかった。う〜ん、これはやっぱり、見に行くしかない?

 

Date  2000年11月3日
Place  大阪市此花区・舞洲スポーツアイランド
Data  路面: アスファルト、一部ダート